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建長寺は伽藍配置 [鎌倉]



2012年5月22日から中国に来ています。今回の中国の記事を本格的に掲載出来るのは帰国(5月29日)後になると思いますので、鎌倉の記事の掲載を続けさせていただきます。今回、紹介の建長寺は中国と縁の深いお寺でした。
上の写真は建長寺の入口にあたる総門です。ここを入ったところで拝観料(300円)を払って中に入ります。すでに建長寺の鐘楼の記事の中で紹介しましたが建長寺は759年前の1253年(建長5年)に鎌倉幕府第5代執権北条時頼によって、わが国最初の禅寺として創建されました。初代住職(開山)は宋からの渡来僧・蘭渓道隆でした。建長寺の正式名は「巨福山 建長興国禅寺」です。総門に山号である巨福山(こふくさん)の文字が書かれていました。

日本の伽藍配置は6世紀(西暦500年代)に始ったようで、鎌倉時代(12~14世紀)に禅宗の伝来によって整然とした伽藍配置が行われ、総門を入ると三門(山門)・仏殿・法堂(はっとう)が一直線に建つ伽藍配置が現れたそうです。まさに、その時代のように総門・三門・仏殿・法堂・方丈が一直線に並ぶ伽藍配置は素晴らしかったです。境内が「建長寺境内」として国の史跡に指定されていることが納得できました。鎌倉五山の第一位でもあるそうです。
これでも創建時に比べると規模が小さくなったと書かれてしました。創建当時の沢山の建物があった建長寺を見てみたいものです。


総門ごしに見た三門です。 建長寺の最初の総門は1275年(建治元年)頃に建てられたと考えられています。
1609年(慶長14年)に再興された総門は1923年(大正12年)の関東大震災で倒壊してしまいます。現在の総門は、1783年(天明3年)に建立されたとされている京都の般舟三昧院の門を1940年(昭和15年)に移築された建物だそうです。


総門をくぐったところの景色です。この日は本当に快晴ですばらしい景色でした。


こちらが三門です。一般的に山門に相当するのが、この三門と呼ばれている三解脱門です。三解脱門(さんげだつもん)とは、涅槃(悟り)に至るために通過しなければならない三つの関門(空・無作・無相)のことだそうです。楼上には、釈迦如来・五百羅漢・十六羅漢が安置され、その下を通ると心が清浄になるといわれています。
クリックすると記事を表示現在の三門は、江戸時代の1775年(安永4年)に二百一世万拙碩誼(ばんせつせきぎ)によって再建されたものだそうです。古狸が再建の勧進に活躍したことから「狸の三門」と呼ばれている国の重要文化財の門です。三門の横には、すでに紹介した茅葺の鐘楼がありました。


三門の奥に仏殿があります。建長寺創建当初の仏殿は、左右に土地堂(つちどう)と祖師堂を従えたものだったそうです。現在の仏殿は365年前の1647年(正保4年)に芝増上寺の徳川二代将軍秀忠夫人(崇源院)の御霊屋が移築されたものだそうです。崇源院は、織田信長の妹お市の方と浅井長政との間に生まれ、姉は豊臣秀吉の側室となった淀の方です。娘には豊臣秀頼に嫁いだ千姫がいます。千姫の養女は東慶寺二十世の天秀尼です。仏殿の他、方丈の正門であった唐門(勅使門)と西来庵の中門も崇源院の御霊屋にあったものが移築されています。建長寺の建物は全国の有名な場所から建物が移設されているのに驚きました。


仏殿の本尊は地蔵菩薩坐像です。1253年(建長5年)の吾妻鏡には、「丈六の地蔵菩薩をもって中尊となし、同像千體を安置す。」と記されています。現在安置されている地蔵像は室町期の作と考えられています。
本尊の他、土地堂に祀られていたと考えられる伽藍神像、千体地蔵、伝心平地蔵なども安置されています。
禅寺の本尊が地蔵菩薩というのは珍しい野ですが建長寺の建てられた場所は地獄谷と呼ばれ、もともとは、地蔵菩薩を本尊とする心平寺が建てられていた。その跡地に建てたことから、地蔵菩薩を本尊としたといわれているます。建長寺を調べていると気楽に訪れやすい感じがあると書かれていました。確かに写真撮影は催しなどの時以外は自由なのです。鎌倉の他の神社やお寺では撮影禁止の表示がありましたが、こちらではないのが、その表れなのかもしれません。


仏殿の奥には法堂(右側の建物)があり仏殿越しに見る景色は伽藍の雰囲気を伝えてくれます。遠くに唐門と龍王殿が見えます。法堂(はっとう)は、法を説くための堂のことだそうです。
当初の法堂は1275年(建治元年)に建長寺開基で五代執権の北条時頼十三回忌のときに創建されたそうです。 現在の法堂は1814年(文化11年)に再建(上棟)されたもので、関東一の大きさだそうです。
鎌倉の現存する法堂は建長寺だけだそうです。


左の建物が法堂 右の建物が仏殿です。


法堂の本尊は大悲閣にあったとされる千手観音像が祀られています。本尊の前にある釈迦苦行像は釈迦が極限の苦行・禁欲(断食)をしている姿を現しているそうです。ガンダーラ文明の遺産で、パキスタンのラホール中央博物館に安置されている像のレプリカで、2005年の愛知万博に陳列された後、パキスタン国より建長寺に寄贈されたそうです。


こちらが重要文化財の唐門(からもん)です。非常にきれいだと思ったら以前から補修されていて一年前に修理が終わって2011年5月30日に落慶法要が営まれました。
唐門は関しては別途掲載させてもらうつもりですので説明は省略いたします。


唐門側から総門方向を見た伽藍の景色です。驚いたことにGoogleのストリート・ビューで建長寺の境内を見ることが出来ることがわかりました。→ ポチッ
ストリート・ビューは唐門の補修工事の期間中に撮られたことがポチッをクリックして画面内で唐門に近づくとわかると思います。

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コメント 10

さうざんバー

歴史を感じますね~(^^)お寺って、ホント荘厳な雰囲気のある所よりも、素朴な感じのお寺のほうが、私は歴史を感じます(^^)
中国ですか・・・(^^)お身体に気を付けて、帰ってきてくださいね~(^^)v
by さうざんバー (2012-05-24 15:10) 

馬爺

素晴らしいお寺ですね、鎌倉は幾度か行きましたがまだ見ていない所が沢山有ります、機会が有れば行って見たいですね。
by 馬爺 (2012-05-24 17:52) 

SORI

さうざんバーさん こんばんは
中国は今日から成都に2泊いたします。夕飯は四川料理を食べました。帰国後に紹介したいと思います。
by SORI (2012-05-25 01:04) 

SORI

馬爺さん こんばんは
私は鎌倉に初めていきました。歴史がある上に洒落た町との印象でした。
by SORI (2012-05-25 01:19) 

まほ

建長寺、ストリートビューで堪能させてもらいました。
茅葺きの鐘楼も、門も見られました。
歴史有る建造物が、あちこちから移築されているとのこと、
それだけ、建長寺そのものにも歴史があるということですよね。
by まほ (2012-05-25 02:07) 

SORI

まほさん おはようございます。
お寺の境内がストリートビューで見れるのは珍しいと思います。撮影車を受け入れる理解者が、おられるということですね。
移築というのも珍しいと思います。鎌倉幕府の力を垣間見る気がします。
by SORI (2012-05-25 04:29) 

ちゃーちゃん

こんばんは‼
鎌倉の建長寺には観光で行きましたが、さ〜と見学する位で詳しく
拝見しなかったので、色んな面で勉強になりました。
もう、簡単に出歩けなくなりましたのでSORIさんのブログで楽しませて頂き嬉しいです。
by ちゃーちゃん (2012-05-25 20:22) 

SORI

ちゃーちゃんさん おはようございます。
詳しく見ていただけてうれしいです。ありがとうござます。
私もブログに掲載する目標が出来たので、先ずは写真を沢山撮ってから、家で調べています。本当は反対の方が、もれなく写真が撮れるのですが、これはこれで楽しい旅行が出来るものなのです。
by SORI (2012-05-26 05:19) 

youzi

重みがある建物ですね。
中国の色がついている建物もいいですが、
木の色をそのまま生かしている建物は
どっしりとした感じがあり、落ち着けるって感じがします。
by youzi (2012-06-16 23:06) 

SORI

youziさん おはようございます。
私も色が使われていない建物が好きです。昔は朱色が塗られていたけれども、いつの間にか木の自然の色になった建物も多いと思います。
by SORI (2012-06-17 05:31) 

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