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50万ボルト高圧送電線の架空地線交換 地上100mの水平ケーブル1本が頼り [送電線]

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
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クリックすると拡大高圧送電線の一番上の細いケーブルに人がぶら下っているのが判ってもらえるでしょうか。写真をクリックしてもらうと右の写真の人がぶら下っている場所が特定できると思います。
ここの鉄塔と次の鉄塔のスパンは517mです。
この高圧送電線は、房総変電所と新京葉変電所を結んでいる房総線と呼ばれている50万ボルト送電線です。ここの鉄塔の高さは87mです。隣の鉄塔が高さ106mで、その隣の鉄塔が高さ121mです。さらにその隣の鉄塔は107mの高さです。上の写真は2017年1月31日に撮ったものです。今回の送電線を単に高圧送電線と記載いたしましたが、電圧が50万ボルト(500KV)であることから超超高圧送電線に分類されます。
 超超高圧線 500KV
 超高圧線  200~275KV
 特別高圧線 154~187KV 110~66KV 33~22KV 22KV
 高圧線   6.6 ~3.3KV (配電系統)
 低圧線   200~100V (家庭用)
 
この房総線では送電線の取替工事が行われています。2017年2月初めの時点で鉄塔の左側の送電線と一番上の細い線の取替工事が完了いたしました。右側の送電線の取替工事は2月13日から始まりました。送電線は右側と左側の2系統で構成されています。片側が使われている時は反対側は予備系統として事故/災害/故障に備えているのです。送電線は交流三相なので3段の送電線になっています。一番上の細い1本の線は架空地線(かくうちせん)と呼ばれて、下の3段の送電線を雷から守っています。送電線の取替工事に関しては2016年12月16日のタイトル「みのむし軍団 高圧送電線補修のプロフェッショナル」の記事で紹介いたしました。
クリックすると拡大その時、送電線にぶら下っている写真も紹介しましたが50万ボルト(500KV)送電線の場合は右の写真のように4本構成されており安定している上に4本のケーブルであることから安心感もありました。今回の場合は細い1本で高さも約100mと最も高いことから紹介させていただくことにいたしました。
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下の写真は鉄塔の最頂部で作業をしている光景です。
見た範囲で細い1本のケーブルに人がぶら下る機会は2回でした。下記の①~⑦の手順の中で②と⑦の時に人がケーブルにぶら下りました。すべて見ているわけではないので最低2回と理解願います。
 ①滑車を取り付ける。
 ガイドの赤いロープ(ケーブル)を鉄塔間に渡す。
 ③赤いロープを鉄塔に固定する。
 ④架空地線を1本につないで赤いロープをガイドに取り換える。
 ⑤新しい架空地線を鉄塔に固定する。
 ⑥赤いガイドロープを外す。
 架空地線に突起物を取り付ける。
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鉄塔との接続部分の下からの写真です。
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こちらがガイド用の赤いロープを鉄塔から鉄塔に渡す作業です。
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鉄塔からかなり離れました。ガイドのついた赤いロープーを伸ばしていきます。こちらの写真はクリックすると特別に大きく拡大いたします。クリックすると迫力があると思います。人と鉄塔の間にガイドが一つ取り付けられていることが分かってもらえると思います。
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真下からの写真です。
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ガイドが2つ取り付けられた写真です。
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上のオリジナルの写真から切り取った写真です。赤いガイドロープを引っ張りながら進んで、鉄塔間に赤いロープを渡している雰囲気を伝えたくて、この拡大写真を掲載いたしました。上の写真をクリックするとこちらの写真を表示するように設定しています。
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赤いガイドロープが張られた写真です。
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隣の鉄塔の写真です。こちらの鉄塔の高さは106mです。すでに紹介した通り、その隣の鉄塔の高さは121mです。ここの鉄塔は送電線をV型に碍子で吊り下げるタイプです。冒頭の鉄塔は送電線の固定点で碍子で水平に引っ張るタイプの鉄塔です。
すでに左側にはガイドの赤いロープが張られています。
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同じ写真ですが頂部を拡大しました。すでに架空地線は滑車に通されています。いつでも取り換えられる体制です。架空地線は右に引っ張って交換されました。鉄塔間の古い架空地線をつなぎ、さらに新しい架空地線をつないで一気に交換するのだと思います。動きまでは写真では分からないのですが、交換中の写真かもしれませ。この時は三脚を持っていなくて動画は撮らなくて写真だけでしたが、ブレがあっても動画を撮っておけばよかったと後悔しています。
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架空地線の交換が終わるとの架空地線に突起物を取り付ける作業です。冒頭の写真です。鉄塔の高さは87mですが、鉄塔が高いところに建っていることから実質的には100m以上の高さになります。
100mの高さに長さ513mのケーブルにぶら下って人力で移動すると考えていただくと、この作業の凄さを実感していただけるのではないかと思います。
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突起物取り付け作業を動画で紹介します。作業をしながら移動していきます。取り付けではなくペンチで捩じると突起物がケーブルから出るように見えます。


87m下の地上からの写真です。架空地線はグラウンドワイヤ (Ground Wire)とも言われます。業界では略してGWと呼ばれているそうです。また架空アース線とも呼ばれる場合があります。我々には空中地線といった方が意味が伝わりやすい気がします。
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冒頭の写真と同じ場所から400mmのレンズで撮った写真です。
クリックすると拡大人より右側には突起物を確認することができます。クリックすると特別に拡大するので取り付けられた金具が確認できると思います。この金具によって確実に雷を捕らえるののではないでしょうか。あるいは冬の積雪による被害を防ぐための「難着雪リング」(右の写真)かもしれません。
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突起物の形状がよく見える写真を拡大いたしました。やはりスパイラルではなくリングの突起物でした。
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ところが隣の鉄塔間の架空地線にはスパイラルのワイヤーが巻き付けられていました。さらに写真の中央の装置が鉄塔間に2ケ所に取り付けられていました。おそらくダンパーと呼ばれる振動を抑える装置だと思います。上の写真のリング上の突起物は付いていませんでした。同じラインなのに明らかに上のタイプとは違う架空地線でした。
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この動画の4本の太いケーブルで構成される送電線とは安定感が違うと思いませんか。こちらは送電線へのスパイラルロッド取付け作業の動画です。この時もすごいと思いましたが、今回の1本のケーブルでの作業を見てプロの仕事のすごさをさらに再認識いたしました。


完成した鉄塔との接続部分です。
接続部分にはいろんなものが取り付けられていました。
地上87m~121mで水平のケーブル1本にぶら下っての作業はいかがだったでしょうか。大変な作業だと思います。寒い日や強風の日もありました。
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今回の4本の巨大鉄塔を紹介します。冒頭で紹介した鉄塔が一番奥です。奥の鉄塔から順番に87m、106m、121m、107mの高さになります。
こちらの写真は2017年1月17日に撮ったもので、架空地線の工事は始まっていませんが送電線の取替工事を行っていました。クリックすると特別に大きく拡大するので。プロフェッショナル達(みのむし虫軍団)が送電線にぶら下っているのが判ってもらえると思います。
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同じ4本の鉄塔を別の角度から撮りました。左から87m、106m、121m、107mの高さの鉄塔です。写真をクリックするとさらに右側の鉄塔も含めて5本の鉄塔が写った写真を表示するように設定しています。こちらの写真は2017年2月15日に撮りました。クリックして出てくる拡大写真で、2本目と3本目の鉄塔にはすでに送電線交換用の滑車が取り付けられていることが判ると思います。
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房総線の鉄塔の位置を全てプロットいたしました。房総変電所から新京葉変電所の間が房総線です。Google地図上で確認できる鉄塔は109本ですが、ネット上では110本と書かれていました。国道296号線を跨ぐあたりに新しく建てられた鉄塔が含まれているのかもしれません。別画面で表示させると非表示にしている五井火力発電所と房総変電所を結ぶ送電線(五井火力線)の鉄塔を表示させることが出来ます。 
 赤白塗装の鉄塔
 シルバー塗装の鉄塔
 送電線の取替工事拠点の鉄塔
 房総変電所 新京葉変電所 江東変電所
 五井火力発電所 総出力 188.6万KW 使用燃料 LNG(天然ガス)
 ━━ 五井火力線 五井火力発電所~房総変電所
 ━━ 旧房総線  新京葉変電所~新野田変電所(旧・東東京変電所)


コメントの中でミケシマさんに紹介いただいた動画を紹介いたします。
Eテレ0655おはようソング「素晴らしき 世界 シリーズⅡ -高の界-」です。動画の頭から2分27秒のところから送電線の歌が始まります。その歌詞を枠内に紹介します。
(前奏) これなんだ 送電線 何かが するする 動いてる これなんだ ものすごく 高いところに 人がいる この世には 我々の 想像もしない 場所で こうやって 人知れず 守ってくれてる 人がいる 送電線 メンテナンス 送電線 高所 送電線 雪など 送電線 付着を防ぐ
(間奏) これなんだ ほぼ空中 何かが するする 動いてる 鉄塔と 鉄塔の 間を渡る 送電線 この世には 我々の 毎日を 守るために 緊張を 強いられる さまざまな 仕事がある 送電線 点検 送電線 今日も 送電線 誰かが 送電線 守ってる (エンディング)
 追伸 2017年2月17日
  残念ながら「-高の界-」の動画の配信は停止されました。


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YOUR-MOM

毎日何気なく使っている電気もこういう方々の日頃のお仕事に支えられているということ忘れてはいけませんね。

by YOUR-MOM (2017-02-14 20:19) 

てんてん

わわわわわ
タ・タマ〇ンがぞわぞわする~(*゜・゜)ウウウウウ…
by てんてん (2017-02-14 21:30) 

SORI

YOUR-MOMさん こんばんは
いろんなプロの人に支えられていることが判ります。
by SORI (2017-02-14 22:01) 

SORI

てんてんさん こんばんは
迫力を伝えることが出来たようで、よかったです。なかなか普通の人には出来ないお仕事です。
by SORI (2017-02-14 22:02) 

ミケシマ

高所恐怖症のわたしは、あそこに辿り着くまでに気絶するでしょう…
Eテレの0655という番組に、「素晴らしき哉、世界」という歌があるのですが
その中に「送電線の界」っていうのがあって、これがまたすごいんです。
思い出しましたー
by ミケシマ (2017-02-14 23:49) 

ミケシマ

動画がありました! この、2:27くらいのところでやってます^^
https://www.youtube.com/watch?v=WGY1dk49Ke4
by ミケシマ (2017-02-15 00:00) 

SORI

ミケシマさん おはようございます。
ほんとすごいです。「素晴らしき哉、世界」の歌の紹介ありがとうございます。動画は本文で紹介したいと思います。
by SORI (2017-02-15 03:40) 

SORI

ミケシマさん おはようございます。
楽しい歌です。みなさんにも見てもらいたいです。
by SORI (2017-02-15 04:20) 

kazu-kun2626

この人達のおかげで現代社会が
成り立ってるんですね
感謝とともに凄すぎますね。ご安全に
by kazu-kun2626 (2017-02-15 06:52) 

旅爺さん

寒い時期にしかも高い所は・・尻の穴がつぼんじゃうでしょうね。
by 旅爺さん (2017-02-15 07:08) 

SORI

kazu-kun2626さん おはようございます。
少し昔のことですが、4本の鉄塔が写っているところで、命綱で宙づりになる事故があったそうです。命に別状はなかったようですが高所のために救出に時間がかかったそうです。安全は大切ですね。
by SORI (2017-02-15 07:55) 

SORI

旅爺さんさん おはようございます。
遮るものがない空中なので、風のある日は地上とは全く違う寒さでしょうね。
by SORI (2017-02-15 07:57) 

tarou

こんにちは
仕事とは言え、凄いですね・・・
電気が毎日使えるのは、
こおゆう人の作業に支えられているんですね(^_^)v
感謝いたします。

by tarou (2017-02-15 09:46) 

サンダーソニア

高所はNGなので
人様がそういう位置にいるのを見るのも足がすくみます。
大変なお仕事ですね。
by サンダーソニア (2017-02-15 14:02) 

夏炉冬扇

仕事とはいえ大変。
私にはとてもとても無理の世界。
by 夏炉冬扇 (2017-02-15 17:54) 

みぃにゃん

正に職人技ですねとても素人には無理です!
by みぃにゃん (2017-02-15 18:46) 

kazu

SORIさん、こんばんは。

一番上の交換は本当に驚かされましたよね。
命綱を付けているとはいえ、本当にすごい作業ですね。
我が家の上で作業している人に聞いた話では、この作業員に一日
の報酬は5万円とか。

ところで、息子が上海から帰ってきました。
成田着のANA920便、17時着でした。
息子は東京に住んでいますが、我が家にお土産を届けに寄りました。

聞いたところによりますと、4日間、実質2日間で、銀行を立ち上げ
パソコンを持ち込み設定してきたとのことでした。
息子は、今の会社で経理を担当しています。

上海(浦東)空港から虹橋に移動し、新幹線で昆山南站で下車し、
歩いて10分のところの事務所とのことでした。

一緒に行った部長は、北京に移動して、結局初めての出張で一人で帰ってきたとのことでした。
by kazu (2017-02-15 19:11) 

リンさん

わあ、怖い。
こういう方たちのおかげで、私たちは快適に暮らせるんですね。
改めて感謝です。
by リンさん (2017-02-15 19:48) 

SORI

tarouさん こんばんは
ほんとプロフェッショナルの仕事です。周辺の人からも注目される仕事ですね。 
by SORI (2017-02-15 19:57) 

SORI

サンダーソニアさん こんばんは
一度、50m煙突の猿梯子を登ってみたことがありますが、25mのところで断念して降りてきました。思っている以上に高いのは怖いことを知りました。
by SORI (2017-02-15 20:02) 

SORI

夏炉冬扇さん こんばんは
これが出来る人は、周辺ではいないと思います。すごい才能です。
by SORI (2017-02-15 20:05) 

SORI

みぃにゃんさん こんばんは
これはすごい仕事です。特にこの高さには驚かされます。
by SORI (2017-02-15 20:06) 

SORI

kazuさん おはようございます。
これでも日当は少ないと思います。ほんとすごい高さです。
特にトップの1本のケーブルを渡っていくのには驚かされました。
息子さんが行かれたのは蘇州市崑山市だったのですね。蘇州市は日本の会社が沢山進出していて日本人も多数赴任している場所です。上海蟹の名産地でもある陽澄湖も近くて上海蟹ツアーにも2度行きました。息子さんの活躍されている姿が目に浮かびます。海外出張が無事に終わってよかったですね。
昆山南站
 https://goo.gl/maps/4ZM5Q8RwrNs
上海蟹ツアー
 http://makkurokurosk.blog.so-net.ne.jp/2015-12-14
 http://makkurokurosk.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20
by SORI (2017-02-16 05:23) 

SORI

リンさんさん おはようございます。
ほんと、感謝ですね。まだ工事が続きます。無事故で終わることを願っています。
by SORI (2017-02-16 05:25) 

poko

SORIさん、こんにちは。
高圧送電線を見る事はあっても
その上で作業をしてる人を見る事なんてないですから
こんなのを見たら驚くだろうしヒヤヒヤしちゃいそうです。
本当に大変なお仕事ですね!
by poko (2017-02-16 11:39) 

SORI

pokoさん こんにちは
見る機会は少ないですね。今回以外で見たのは1~2回です。まさにプロフェッショナルの仕事です。
by SORI (2017-02-16 16:37) 

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