国王の居間群 (ヘラクレスの間 豊饒の間 ヴィーナスの間 ディアナの間 マルスの間 メルクリウスの間 アポロンの間) [ヴェルサイユ宮殿]
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上の写真は、前記事でヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂の記事で最後に紹介した「ヘラクレスの間」です。ヘラクレスの間は現在の礼拝堂が出来る前に王室礼拝堂があった場所でこの部屋の1階と2階部分を礼拝堂が占めていたそうです。1710年に現在の礼拝堂が出来て、長い工事の末に国王の大きな居間に変身いたしました。
壁に飾られている大きな絵は「シモン家の宴」で、巨大な天井にフランソワ・ルモワンヌによって描かれてた「ヘラクレスの栄光」がありました。ヘラクレスの間と呼ばれているのは天井画に由来していると感じました。
こちらが「シモン家の宴」です。この絵は1570年にヴェネチアの セルヴィテス修道院の食堂にあったものだそうでが、1664年に総督がルイ14世に贈ったそうです。贈った目的は、対トルコへの支援を要請するためのものでした。
冒頭の写真と反対側です。
絵画の下に大きな暖炉がありました。
絵画を拡大いたしました。
暖炉も見事でした。ヘラクレスの間は国王の居室の一つで、連なった国王の居間の中の最大の居間でもあります。
上で紹介した「ヘラクレスの間」から有名な「鏡の間(鏡の回廊)」までの間に連なって国王の居間などがあります。その部屋を順番に紹介したいと思います。戦争の間の次が有名な「鏡の間」です。①のヘラクレスの間から⑦のアポロンの間までが国王の居間と呼ばれている部分です。紹介の部屋以外に「第一控え室の間」、「第二控えの間」、「貴人の間」、「大会食の間」、「閣議の間」、「王妃の衛兵の間」、「戴冠式の間」などの沢山の部屋がありました。
右の航空写真の赤色ライン(━━)が今回紹介の国王の居間の見学ルートです。
① ヘラクレスの間 Salon d'Hercule
② 豊饒の間 Salon de l’Abondance
③ ヴィーナスの間 Salon de Vénus
④ ディアナの間 Salon de Diane
⑤ マルスの間 Salon de Mars
⑥ メルクリウスの間 Salon de Mercure
⑦ アポロンの間 Salon d’Apollon
⑧ 戦争の間 ⑨ 平和の間
⑩ 王の寝室 ⑪ 王妃の寝室
へラクレスの間から豊饒の間を見た写真です。
② 豊饒の間 Salon de l’Abondance
この豊饒の間は夜になるとが軽い飲み物を提供する場所として、カフェ、ワイン、リキュールなどが供されたそうです。
そして、この部屋はルイ14世の「好奇心または珍重の小部屋」とも呼ばれていたそうです。ルイ16世の時代には遊戯の間になったそうです。王は重要な訪問客に、ここに保管されている金銀細工の壷、宝石、メダルを見せることを好みました。ヴォールト(天井)の装飾もそれを反映しているそうです。
船の形をしたマストのない貴重な王の大帆船は、重要な出来事の機会には王のテーブルの上か、あるいはビュッフェ・テーブルの上に置かれていたそうです。その前を通り過ぎるときに人々は敬礼する必要があった権力の象徴で、王のナプキンが入れてありました。
③ ヴィーナスの間 Salon de Vénus
この部屋は、ディアナの間と同じく、大居室へ通ずる主な経路をなしています。というのも1752年に破壊された「大使の階段」の先が大居室だったからだそうです。居室の夕べでは、食卓の準備をして、花かご、オレンジやレモンといった新鮮で珍しい果物をピラミッド形に並べ、砂糖漬けの果物、マジパンなども取り揃えられていたそうです。
他の続きの部屋と同様に、この部屋は惑星に名前を借りていますが、これはヴェルサイユ宮殿全体の装飾のインスピレーションが惑星としての太陽系に求められているからだそうです。このヴィーナスの間は、天井に愛の女神が描かれていますが、古代ギリシャでは金星(ヴィーナス)と関連付けられていたからだそうです。ヴォールト)天井)の下部(アーチ形)を装飾する絵画は、古代の英雄の行動を描き、それは同時にその部屋の惑星と、ルイ14世の偉業にも関連しているそうです。
一連の部屋の中でも、ヴィーナスの間が最もバロック的な装飾だそうです。ここが、ル・ブランが建築と、彫刻、絵画を現実にあるいは見せ掛けとして対話させた唯一の部屋でもあるそうです。つまり、壁柱と大理石の柱が、ジャック・ルソーの描いた遠近の眺望に取り込まれ、窓側のだまし絵の2つの彫像が、ジャン・ヴァランの描いたルイ14世の人物に対応しているそうです。
④ ディアナの間 Salon de Diane
ヴィーナスの間と同様に、ディアナの間は、大居室のホール、そしてルイ14世の頃には、夜は居室、ビリヤードの間として利用されていたそうです。拍手を送る夫人たちのためにふたつの壇が作られていて、上手だった王が素晴らしいプレイをするたびに拍手をしたので、「拍手の寝室」とも呼ばれていたそうです。古代ギリシャでは、狩の女神であるディアナは、その冷たい印象から月に譬えられていたそうです。彼女はまた太陽神アポロンの妹でした。ヴォールト(天井)の下のアーチ部分の装飾には、古代の英雄たちが狩をする姿が描かれています。これは暗喩ではなく、ルイ14世が立派な狩人だったという事実を示しているそうです。
天井の中央部分の絵はガブリエル・ブランシャールの作品で、航海と狩をするディアナの絵です。暖炉の上には、イフィジェニーの犠牲を描いたシャルル・ド・ラ・フォスの作品、その向かいのコンソール(テーブル)の上にはディアナとエンディミオンが描かれたガブリエル・ブランシャールの作品があります。
古代の胸像はマザラン枢機卿のコレクションで、彼がルイ14世に遺贈した物です。
中央の胸像です。
こちらが右側の胸像で男性です。
こちらは左側で女性の胸像です。
ディアナの間の窓からの景色です。北方向です。
庭を手入れする庭師の人が沢山いるのが印象的でした。
⑤ マルスの間 Salon de Mars
マルスは惑星の火星を表すと同時に戦争の神でもあります。この部屋は、元々は衛兵の間でしたがのちに夜は居室として使われ、音楽及び舞踊などに使用されたことから「舞踏の間」とも呼ばれるようになったそうです。宮廷バレエは厳格な基準があり、数多くのリハーサルが必要で、王太子たちがプロのダンサーに混じって参加することもあったそうです。暖炉の両側には高壇が設けられていましたが、これは音楽の奏者たちのためだったそうですが、その高壇は1750年に取り払われたそうです。天井の中央には、クロード・オードランにより、狼たちが引く戦車に乗ったマルスが描かれています。
沢山の絵画で飾られていました。
見事なシャンデリアと天井画と金色の装飾が印象的でした。
こちらの絵の金色の額にはMARIE LECZINSKA 1747と書かれていました。
額の飾りも見事でした。
⑥ メルクリウスの間 Salon de Mercure
このメルクリウスの間はもともと大居室の装飾的な寝室で、それが起源となって「寝台の寝室」とも呼ばれていたそうです。しばらくするとその寝台は冬場は取り払われ、その代わりに遊戯の机が置かれていたそうです。
このメリクリウスの間が寝室として利用されたのは、ルイ14世の孫、アンジュー公のスペイン国王即位の宣言の時で、アンジュー公はこの部屋を3週間寝室として使用したそうです。また、1715年9月2日から9月10日までルイ14世の遺体が安置されたのもこの部屋でした。
こちらの部屋では、こちらの時計も印象的でした。
こちらの部屋の天井画も見事でした。
⑦ アポロンの間 Salon d’Apollon
ルイ14世が自ら同一視する太陽、芸術そして平和の神に捧げられたアポロンの間は、最も豪華な部屋といわれています。
天井画の装飾やシャンデリアから、その豪華さが伝わってきました。
中央の丸い天井画が印象的でした。
⑧ 戦争の間 Salon de la Guerre
こちらが、7つの大居間と鏡の間の間にある「戦争の間」です。左に行くと「鏡の間」に行きます。楕円形の化粧漆喰朝浮き彫りは「敵を足下に踏み敷く馬上のルイ14世」の姿でコワズヴォクスの傑作だそうです。
こちらの「戦争の間」も豪華な部屋でした。最も有名な「鏡の間」は「戦争の間」と「平和の間」に挟まれる形に配置されていました。
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