人類誕生 [話題]
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前記事「ホノルル美術館 特別展編」で右のエリック・スウェンソンの作品「Ebie」を紹介した時に人類の進化に関して記載いたしました。その内容を切り出して一つの記事として掲載することにいたしました。
現代の人類(ホモ・サピエンス)につながる進化は最新の研究において、概ね上の人類進化系統図の①→⑨に進化してきたと言われています。Ⓐ~Ⓙは同時期に存在し絶滅した人類です。多くの人類が出現して絶滅していきましたが化石の痕跡から言えることは人類同士の戦争が始まったのは⑨のホモ・サピエンス同士だった考えられているそうです。確かにそれまでの人類の数は少なく遭遇することも稀で生き方も違うと考えられるので、異種人類同士の戦争は無かったことはありえることだと思います。
人類の進化に関する学説は今後も進化し変化していくものと考えるのが自然であることから、上の人類進化系統図は現時点における一つの学説です。最近脚光を浴びたルーシーと名付けられた猿人は⑤で、ジャワ原人は⑦になります。北京原人は⑦の亜種とされています。約4~1万年前にいたクロマニョン人は⑨に含まれています。上の人類進化系統図の中に出てくる以外の名前としては、オローリン・トゥゲネンシス、アウストラロピテクス・バーレルガザーリ、ケニアントロプス・プラティオプス、ホモ・ルドルフェンシス、ホモ・エルガステルがあります。着色した名前をクリックすると説明を表示します。
① サヘラントロブス・チャデンシス(類人猿→人 700~600万年前)
② アルディピテクス・カダバ(猿人 577~554万年前)
③ アルディピテクス・ラミダス(猿人 450~430万年前 アルディ)
④ アウストラロピテクス・アナメンシス(猿人 420~390万年前)
⑤ アウストラロピテクス・アファレンシス(猿人 390~290万年前)
⑥ ホモ・ハビリス(240~140万年前)
⑦ ホモ・エレクトス(180~20万年前)
⑧ ホモ・ハイデルベルゲンシス(60~40万年前)
⑨ ホモ・サピエンス(現代人 ネアンデルタール人のDNAを約2%含)
Ⓐ ブルテレの足(340万年前)
Ⓑ パラントロプス・エチオピクス(270~230万年前)
Ⓒ パラントロプス・ボイセイ(200~120万年前)
Ⓓ パラントロプス・ロブストス(250~200万年前)
Ⓔ アウストラロピテクス・アフリカヌス(300~200万年前)
Ⓕ アウストラロピテクス・セディバ(180万年前)
Ⓖ アウストラロピテクス・ガルヒ(200~300万年前)
Ⓗ ホモ・ナレディ(不明)
Ⓘ ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス 40~2.8万年前)
Ⓙ ホモ・フロレシエンシス(? ~5万年前)
本内容はNHK総合で放送された人類誕生の第1集(2018年4月8日放送)と第2集(2018年5月13日放送)を参考にしてネットで調べた内容を加えて記載しています。NHKでは次の7種類の人類にスポットを当てて放送されていました。昔に教えられた人類誕生進化の常識がガラッと変わってきていることを知りました。各人類と日本人の体形を比較したい方は写真をクリックしてみてください。次の第3集は2018年7月8日21時から放送予定でしたが、オーム真理教関連の番組のために2018年7月15日21時からに変更(延期)になりました。後半の3枚の地図以外はNHKの人類誕生から転用させていただきました。身長は代表例です。
③ アルディピテクス・ラミダス580~440万年前)
⑤ アウストラロピテクス・アファレンシス(390~290万年前)
⑥ ホモ・ハビリス(240~140万年前)
Ⓒ パラントロプス・ボイセイ(200~120万年前) ホモ・ハビリスとの比較
⑦ ホモ・エレクトス(180~20万年前)
Ⓘ ネアンデルタール人(40~2.8万年前) ホモ・サピエンスとの比較
⑨ ホモ・サピエンス(現代人 ネアンデルタール人のDNAを約2%含)
人類に関する300万年前より古い化石は断片的なものが多いことから直立二足歩行の可能性の指摘に留まっている中で下記の全身骨格により、直立二足歩行が証明されるとともに生活様式の推測も行われたようです。左の画像が③で右の画像が⑤です。③から⑤の変化は家族から集団と推測されています。貴重な全身骨格であることから先頭の愛称が名付けられました。全身骨格とは、重要な部分の多くが含まれた骨格のことを意味しています。
全身骨格化石(300万年前以前)
アルディー 約440万年前 ③ラミダス 1994年発見 女性
セラム 約332万年前 ⑤アファレンシス 2000年発見 幼女
ルーシー 約318万年前 ⑤アファレンシス 1974年発見 女性
ネアンデルタール人は約40万年前に出現し2万数千年前(4万年前と2万8千年前説があります。)に絶滅しましたが、現代人であるホモ・サピエンスのゲノム(DNA)の中にネアンデルタール人の遺伝子が約2%混入している説が2010年5月7日のサイエンスに発表されたそうです。その内容はNHKの人類誕生第2集でも紹介されました。下の地図は世界各地の現代人の遺伝子の中のネアンデルタール人DNAの割合を示した地図です。
本内容はマックス・プランク進化人類学研究所(Max-Planck-Institut für evolutionäre Anthropologie)のスヴァンテ・ペーボ博士(Svante Pääbo博士)をリーダーとする長年の研究の成果です。5万年前のネアンデルタール人の骨からDNAを復元するだけでも14年がかかったそうです。この成果により現代人のDNAと比較することが出来たのです。ちなみにNHKで放送された人類誕生のナビゲーター役の高橋一生さんのネアンデルタール人由来のDNA含有率は推定約2.3~2.4%でした。日本人のほとんどが約2%を持っそうです。
地域によって割合の特色が出ていることがホモ・サピエンスとネアンデルタール人の混血があったことを示唆しているようです。中東地域で混血があり世界に広がったと考えられています。
ヨーロッパ 1.8~2.4%
アジア 2.3~2.6%
アフリカ 0.0%
NHKスペシャル・人類誕生(3回シリーズ) NHK総合 日曜日21時~21時49分
2018年4月08日 人類誕生 第1集「こうしてヒトが生まれた」
2018年5月13日 人類誕生 第2集「最強ライバルとの出会い そして別れ」
2018年7月15日 人類誕生 第3集「ホモ・サピエンス ついに日本へ!」
第3集の「ホモ・サピエンス ついに日本へ!」では、その後の人類の世界拡散につながる約3万年前の広い海を渡る技術の習得の成果となった台湾・沖縄ルート(当時の人類の最も難しい航海)に焦点をあてて説明が行われていました。
NHKホームページに登録されている超微細CG動画 クリックすると表示
③ アルディピテクス・ラミダス 生活(家族)
⑤ アウストラロピテクス・アファレンシス 生活(集団)
⑥ ホモ・ハビリス 生活(石器)
⑦ ホモ・エレクトス 狩り(持久力)
Ⓘ ネアンデルタール人 狩り(小人数)
⑨ ホモ・サピエンス 生活 宗教 狩り 出会 旅出
★ネアンデルタール人 ★デニソワ人 と交わった可能性のある場所
琉球諸島の旧石器時代の遺跡です。当時の台湾は更新世氷河期時代(300万年~1万年前)で大陸と陸続きでした。遺跡の年代から3万年前には海を渡る航海能力が旧石器時代の人類にあった証拠となっています。
2019年10月29日追記 タイトル:現生人類の正確な誕生場所が発表
現生人類であるホモ・サピエンス・サピエンス(Homo sapiens sapiens)はアフリカで誕生したと言われていましたが、今までは正確な場所は特定されていませんでした。2019年10月29日に正確な場所が特定できたとの論文発表がされたので枠内に、その記事を転記する形で紹介いたします。
現生人類、ボツワナで20万年前に誕生 DNA分析で特定10/29(火) 6:25配信現生人類は20万年前、ボツワナ北部で誕生したとする論文が28日、国際研究チームにより科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。人類誕生の地を特定した研究結果としては、これまでで最も詳細な位置を示したものとみられる。
解剖学的現生人類のホモ・サピエンス・サピエンスがアフリカで誕生したことは以前から知られていたが、その正確な場所は特定されていなかった。 研究チームは、「L0」系統のDNAを高い割合で保持することが知られている民族グループ「コイサン」に属する200人からDNAサンプルを採取した。コイサンは現在、南アフリカとナミビアに暮らしている。 研究チームはサンプルを地理的分布や考古学、気候変動のデータと合わせ、ゲノム年表を作製。年表から、L0系統の起源が20万年前のザンベジ川(Zambezi River)南方のボツワナ北部にさかのぼることが示唆された。 同地域はマカディカディ・オカバンゴ(Makgadikgadi-Okavango)と呼ばれ、現在は主に荒原が広がっているが、当時はビクトリア湖(Lake Victoria)の約2倍の大きさの巨大湖があったという。人類は同地域に約7万年の間住んでいたが、約13万年前に起きた気候変動により世界各地に広がっていったとみられている。
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