八ヶ岳の別荘地の山荘に泊まったことはすでに紹介しています。土曜日の朝に散歩に出かけると苔に混じって地衣類(ちいるい)が沢山ありました。上の写真のように珍しい形の地衣類なので写真を撮りました。
地衣類は、菌類(主に子嚢菌類)と藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)からなる共生生物だそうです。地衣類の構造は菌糸からできています。

シアノバクテリア(Cyano Bacteria)の祖先は32億年前(or 35億年前)~30億年前(or 27億年前)に酸素のない地球の海で初めて光合成によって酸素を放出した生命で酸素で満ちた地球を作り出した生命体だったのです。その酸素によって現在の生物につながる活発に動く生命体が出現することになりました。


上の地衣類の写真を撮ったことで地衣類に興味が出てきて近くで見つけた別の地衣類も撮りました。地衣類というのは、陸上性で、ごく背の低い光合成生物だそうです。生育環境は苔と共通しています。
地衣類の構造を作っているのは菌類で、大部分は子のう菌に属するものだそうですが、それ以外の場合もあるそうです。菌類は光合成できないが、地衣類の場合は菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生しており、藻類の光合成産物によって菌類が生活するそうです。藻類と菌類は融合しているわけではなく、それぞれ独立に培養することも不可能ではないそうです。しかし菌類単独では形成しない特殊な構造や菌・藻類単独では合成しない地衣成分がみられるなど共生が高度化しているそうです。


繁殖は有性生殖と無性生殖があり、有性生殖は小さなキノコ状の子実体を作り、そこに胞子が形成されるそうです。子実体の形は、大きくは3通りあり、皿状の裸子器(らしき)、壺状の被子器(ひしき)、溝状に細長いリレラがあるそうです。冒頭の写真は胞子を出す子実体ではないでしょうか。胞子はその内部の子嚢の中に減数分裂によって形成され、上に放出されるそうです。胞子が好適な場で発芽すると、藻類を取り込んで成長します。無性生殖は地衣体の一部を粒状や粉状の構造として、これを分離して散布するものです。これを芽子と呼ばれます。このようなものは内部に藻類を持って分散するので、すぐに成長を始めることが出来るそうです。


こちらの写真にも胞子を出す子実体と思われるものが写っています。地衣類はその形態から、葉状地衣類、痂状地衣類、樹状地衣類に大別されています。


こちらの写真は地衣類ではなく苔です。比較のために同じ場所に生えていたものを掲載いたしました。こちらは植物です。クリックすると拡大します。


これらの地衣類やコケが生えていたのは、このような自然林の中でした。