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九寨溝を代表する五花海(五花湖)で沢山の魚を見かけました。九寨溝で実際に魚を見たのは五花海と熊猫海(パンダ湖)でした。上の写真は五花海の魚です。驚いたことに九寨溝には大きな湖が沢山あるのに魚が一種類だけなのです。一種類の魚しか住んでいない湖は珍しいのではないでしょうか。そのことだけでも隔離された特殊な環境の驚きの世界といえるのではないでしょうか。ガイドさんは高山裸鯉魚と説明されました。正式名は嘉陵裸裂尻魚(かりょうられつこうぎょ)でチベット高原の河川やその支流、湖に広く生息する鱗(うろこ)がないコイ科の魚だそうです。鱗がないと書かれていましたが、ほんとうに鱗がないかどうかは専門的なサイトが見つかっていないので定かではありません。鱗のない魚と思われている鰻も顕微鏡レベルでは鱗があるそうです。アナゴやナマズやアンコウは、ほんとうに鱗がないそうです。鱗のない魚もいるので、九寨溝の魚も、ほんとうに鱗が無いかもしれませんが、とりあえず嘉陵裸裂尻魚は鱗が無いように見える魚ということにしておきます。

嘉陵裸裂尻魚が一種類のみ九寨溝で太古から生き延びてきたのは鍾乳洞の中の水と同じように石灰分(Ca)が飽和状態に溶け込んで、非常に澄んだ状態のためにプランクトンなどの餌が少ないことが関係しているそうです。餌らしいものは偶然に水面に落ちてくる虫くらいなのです。したがって水底の石灰中のバクテリアなどを石灰ごとまる飲みし、あとでエラから石灰分のみを排出して栄養にしていると書かれていました。
さらに魚にとって運が良かったことにチベット族の人は魚を神聖なものとし魚を食べる習慣がないために生き延びたともいえるかもしれません。天敵となる大型の肉食魚も、いくつもの滝に阻まれて昇って来れないのだと思います。運よく入り込んできても特殊な水質に順応でき無かったのではないでしょうか。


下の写真は熊猫海(パンダ湖)の嘉陵裸裂尻鱼です。成魚の体長10~25cm程だそうです。Wikipediaでの中国語記載内容は次の通りです。
嘉陵裸裂尻鱼(学名:Schizopygopsis kialingensis)为輻鰭魚綱鯉形目鲤科裸裂尻鱼属的鱼类,俗名小白飘、冷水鱼,是中国的特有物种。分布于嘉陵江上游等。该物种的模式产地在嘉陵江。
分類は次の通りです。
 界:動物界 Animalia
 門:脊椎動物門 Chordata
 綱:条鰭綱 Actinopterygii
 目:コイ目 Cypriniformes
 科:コイ科 Cyprinidae
亜科:裂腹鱼亜科 Schizothoracinae
  屬:裸裂尻鱼属 Schizopygopsis
 種:嘉陵裸裂尻魚 Schizopygopsis kialingensis
学名:Schizopygopsis kialingensis
俗名:冷水魚, 小白飘  鱼(中国語) = 鱼(日本語)
産地:嘉陵江
分布:嘉陵江上流 九寨溝 
ネットの中には時々、九寨溝の固有種との記載がありますが九寨溝の固有種ではなく、生息しているのは九寨溝も含めた嘉陵江の上流の山岳地帯の特殊な環境に住んでいるのです。九寨溝を流れる川は白龍江の支流で、そこから白水江を通って 嘉陵江につながっています。嘉陵江は重慶で長江(揚子江)につながっています。右上の魚の小さな写真はネットから転用させていただいています。


この地図のラインが九寨溝から重慶までの白龍江/白水江/嘉陵江です。緑のライン(━━)は平地です。赤いライン(━━)が五花海から白龍江に合流するまでの九寨溝の川のラインです。だいだい色(━━)のラインで示している黄龍にも嘉陵裸裂尻魚が生息しています。水系が違い40km離れた黄龍でも生息している魚は嘉陵裸裂尻魚の一種類なのです。同じように石灰分が飽和状態の世界です。黄龍も石灰分が飽和状態の環境なので、やはりこの魚だけが生き延びたのかもしれません。紫のライン(━━)は黄龍から嘉陵江へつながる山岳地域の川です。
 宿泊したホテル インターコンチネンタル九寨パラダイス
 今回の旅で最も標高が高かった4007mの雪山梁峠
 世界で5番目に高いところにある四川九寨黄龍空港 標高3447.65m
 ━━ 五花海から白龍江に合流するまでの九寨溝の川
 ━━ 山岳地帯 九寨溝→広元
 ━━ 平地の川 広元→重慶
 ━━ 黄龍
 ━━ 黄龍から嘉陵江へつながる山岳地域の川
 ━━ 平地の川 江泊→重慶