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2013年6月1日追記 タイトル:謎の伝統行事は安産祈願でした。

kazuさんのコメントで不思議な二股の枝は「ザンマタ」と呼ばれる難産を避け、子どもが無事に産まれてくるように祈る呪(まじな)であることが判りました。昨日、kazuさんに案内していただき、この伝統行事をホームページに書かれている八千代市立郷土博物館に行き話を詳しく聞かせていただきました。
今回、「ザンマタ」という呼び名がわかったことからネットで検索した結果、ほかにも「犬卒塔婆」、「犬供養」、「ザクマタ」「ザカマタ」「サンマタ」「チキショウトウバ」「フタマタトウバ」「マダガリトウバ」「マツタ木塔婆」などの呼び名があることが判りました。いずれも安産を祈願する風習でした。一般的には二股塔婆(フタマタトウバ)が判りやすいと思います。
ホームページの内容の一部を下記の枠内に転記させていただきました。全文を見たい方はホームページにアクセス願います。→ポチッ
ホームページに八千代市真木野地区と書かれていたことから、今日(2013年6月1日)に探しに行って撮ったのが冒頭の写真です。右から2つ目に真新しい「ザンマタ」が立てられていました。右の写真のように、その裏には「平成廿五年二月廿四日建立」と書かれており、今でも安産祈願が行われていることが確認できました。ちなみに電信柱の正面大きなザンマタは「平成廿四年二月廿六日建立」と書かれております。小竹地区のザンマタも2月24日だったので、確認していませんが2月に祈願する風習なのかもしれません。調べてみると、これを立てるのは子安講の縁日が多いそうです。
冒頭の写真の一番右側のザンマタには「施主 神久保子安講」の文字を見ることが出来ました。「志」は小さい文字なので神久保地区の子安講を示しているのだと思われます。子安とは「子を安らかに産むこと」なので、ここからも安産を祈願したものであることが伺えました。また「子安講」とは「安産祈願のために、婦人が集まって子安神を祭る信心講」だそうです。
八千代の歴史 25 「変わらぬ母の祈り」

昭和40年代初め頃までは都市部以外の場所では病院も少なく、八千代でも長らく村上に公立の診療所が一件あるのみでした。当時はお産になると、地元のお産婆(さんば)さんと呼ばれる出産立ち会い経験豊富な女性に頼ることが多く、自宅で出産することが普通でした。

しかし逆子(さかご)などの難産の場合、医療器具も十分でなかったため、無事に生まれてくる確率は低かったのです。八千代の真木野地区ではこのような難産を避け、子どもが無事に産まれてくるように祈る呪(まじな)いが伝えられています。

その呪いの方法は、お産を控えた婦人がYの字型の枝を見つけてきて地元の妙徳寺に持ち込み、安産のためのお経を枝に書いてもらいます。そして、道が三叉路になっている場所に立ててきます。このYの字型の枝を「ザンマタ」と呼びます。この呪いは「犬供養」と言い、犬の出産はとても軽いことから、それにあやかろうとするためだと言われています。枝の形も三叉路のイメージも出産を連想されるものであり、呪いは子安講(こやすこう)という子育て中の女性グループでの行事として行われるようです。

私は仕事柄、市内各地区に伝わる様々な伝統行事に出会ってきました。真木野の「ザンマタ」の写真は、5年ほど前に撮影したものですが、この1月に現地を確認したところ、新たな「ザンマタ」は立てられていませんでした。犬供養そのものは、近い将来、消えていってしまう民間信仰なのかも知れません。しかしいつの時代も我が子が無事に生まれ、心身共に健やかに育って欲しいと願う親の気持 ちに変わりはありません。犬供養の伝統は、そんな母親の優しさや祈りを代弁し ている伝統行事として、是非とも後世に伝えていって欲しいと願っています。

(写真:三叉路に立てられたザンマタ)

吉高の大桜の近くにもザンマタがあることが判りました。ここでは「犬卒塔婆」と呼ばれているようで安産祈願のためと書かれていました。こちら写真はネットから拝借いたしました。こちらの写真は今から8年前の2005年4月の写真です。現在の状況が知りたくてさっそく確認に行ってきました。


こちらが本日2013年6月1日の写真です。いつもの通り自転車で撮りに行きました。かろうじてザンマタと判る枝はありましたが8年前から新しいザンマタは立てられていないようでした。

ザンマタに関する詳しい記述がありましたので紹介します。→ポチッ

2013年4月29日掲載 タイトル:謎の伝統行事 佐倉市小竹地区

佐倉市小竹の辻切りを探しながらのワンコの散歩の時に文字を書いた二股の枝が祀られているのを発見しました。同じ場所に古い枝も祀られていることから古くから続いている伝統行事のようです。
二股の枝の両側に「汝是畜生発菩提心諸畜生発菩提心也」と書かれていました。汝是畜生発菩提心を検索してみると「たとえ動物達が理解できずとも、法の響きは身体に浸みとおり、ついには悟りへの善き縁となる」と説明がありました。一字目が「汝」ではなく「如」の「如是畜生発菩提心」に対しては「是(か)くの如く畜生、菩提心を発(おこ)す」とありました。「汝是畜生発菩提心」も「如是畜生発菩提心」も動物の墓碑銘にも使われることがあるそうですが、この小竹地区の二股の枝の意味は不明です。小山の上に建っている石碑は庚申塔であることから庚申信仰(こうしんしんこう)と関係があるのかもしれません。

こちらが小山の上の4つの庚申塔です。青面金剛象が彫られた一番大きな庚申塔は延享二年十月(1745年)に建てられたものでした。ejto
268年前ですね。
庚申信仰とは、中国道教の説く「三尸説(さんしせつ)」をもとに、仏教、特に密教・神道・修験道・呪術的な医学や、日本の民間のさまざまな信仰や習俗などが複雑に絡み合った複合信仰だそうです。
庚申塔はこの辺りでも沢山見かけることが出来ことからいくつか記事を書かせていただきました。→下高野 青菅


こちにが裏側(庚申塔側)から見た二股の枝です。


一番新しい枝の根元には「西講中 二月二十四日」と書かれていました。木の色合いから今年2013年2月24日に祀られたものと思われます。講中は神仏にもうでたり祭りに参加したりする集まりのことです。二股の枝は全部で7本立てられており、その中で文字が読み取れたのは3本だけでした。2本の古いと思われる枝の根元には西作講中と書かれており日付は入っていませんでした。その他の文字は表も裏も同じでした。
枝の裏側の両側には「南無遍照金剛」と書かれており根元には「合掌」と書かれていました。「南無(大師)遍照金剛」は真言宗などのお経の中で空海(弘法大師)に使われる呼び方でもあるようですが、現時点でこの不思議な二股の枝の意味は解明できておりません。ご存知の方がおられたら是非とも教えてください。


航空写真の黄色のマークのところに謎の二股の枝が祀られていました。