箱根登山鉄道の終点駅である強羅駅に着いた後は箱根登山ケーブルカーで、さらに上を目指します。箱根登山ケーブルカーと言っても、実は箱根登山鉄道株式会社なのです。つまり箱根登山鉄道(株)は2つの路線を所有しており、一つがすでに紹介した箱根登山鉄道でもう一つが箱根登山ケーブルカーなのです。登山鉄道に関しては会社と路線の区別がつきにくいので路線の場合は箱根登山鉄道と表現させてもらい、会社を示すときは箱根登山鉄道(株)と表現させていただきます。
箱根登山ケーブルカーは一般的な呼び名で正式には箱根登山鉄道鋼索線です。
  路線距離 1.24km
  高低差   214m
  軌間    983mm
  車両    ケ100・ケ200形 スイス・ガングロフ社 1995年製
  定員    252名 登山電車3両分以上の輸送力
  勾配    最大200/1000 平均173/1000 最小126/1000

箱根登山ケーブルカーの最大の特徴は途中駅が4駅(起終点を入れると6駅)もあることだと思います。これは初めての経験でした。駅名は下から強羅→公園下→公園上→中強羅→上強羅→早雲山です。ケーブルカーは2台の車両が頂上の駅を介してケーブルでつながっている「つるべ式」であることから同時に動き、同時に停止します。駅の位置は上からの距離と下からの距離を同じに配置する必要があるなど制約条件があることから非常に珍しいと思います。

写真のように一直線のの線路が伸びていました。公園下駅と公園上駅と中間地点の行き違い部分が確認できます。クリックして拡大するとわかりやすいと思います。
1921年12月01日に開業したケーブルカーで関東で最も古いそうです。ちなみに日本で最も古いのは1918年開業の生駒ケーブルカーで世界で最も古いは1873年に作られたサンフランシスコのケーブルカーだそうです。
箱根登山ケーブルカーは箱根登山鉄道の終点の強羅とロープウェイの乗り換え駅である早雲山を結んでいます。
第二次世界大戦のために1944年02月10日から1950年07月01日の間、設備も撤去・供出して運行を停止したくらい歴史がありましたが、今は沢山の人でにぎわっていました。
  1921年12月01日 開業     スイス・フォードベルン社車両
  1944年02月10日 運行停止  施設はすべて撤去・供出
  1950年07月01日 運行再開
  1995年03月16日 2両編成化 軌間 1000mm→983mm 


上からのケーブルカーとすれ違うまでの連続写真を掲載いたします。どの写真もクリックすると4倍に拡大いたします



上強羅駅です。こちらの駅では降りる人だけでしたが、他の駅では乗る人も降りる人もありました。ケーブルカーの両側には別荘地や会社のロッジや旅館などがあるため途中駅を利用する人があるのだと思います。終点の早雲山駅も正面に見えています。


ネットで日本のケーブルカーを調べました。鉄道事業法によるケーブルカーの範囲ですが、やはり駅の数で箱根登山ケーブルは日本一でした。駅数は起終点を含めた数です。この表の中には鉄道事業法によらないケーブルカー(6線)や廃止になったケーブルカー(16線)は含まれていません。路線名を着色しているケーブルカーには乗ったことがあります。
  6駅 箱根登山ケーブル 
  4駅 比叡山ケーブル
      生駒ケーブル山上線
  3駅 大山ケーブル
  2駅 他の20のケーブル
右の写真(Wikimediaから拝借)は中間地点に駅がある大山ケーブルです。
それにしても戦前のケーブルカーが多いのに驚かされました。
路線名 愛称
軌間
mm
全長
m
最大
勾配
最小
勾配
高低差
m
開業年戦前
青函トンネル・ケーブル2914778250‰250‰1951988 
筑波山ケーブル21,0671,634358‰207‰4951925
高尾登山ケーブル21,0671,020608‰105‰2711927
御岳登山ケーブル21,0491,107470‰250‰4241934
箱根登山ケーブル69831,240200‰126‰2141921
大山ケーブル31,067786477‰258‰2781931
十国峠ケーブル21,435317408‰233‰1011956 
黒部ケーブル21,067828587‰407‰3731969 
立山ケーブル21,0671,366560‰334‰4871954 
比叡山 坂本ケーブル41,0672,025333‰170‰4841927
叡山ケーブル21,0671,458530‰215‰5611925
鞍馬寺ケーブル2800207499‰499‰891957 
天橋立ケーブル21,067391461‰78‰1151927
生駒ケーブル 宝山寺線21,067948227‰83‰1461918
生駒ケーブル 山上線41,0671,124333‰256‰3221929
西信貴ケーブル21,0671,263480‰170‰3541930
高野山ケーブル21,067864563‰274‰3291930
男山ケーブル21,067411206‰203‰821926
妙見ケーブル21,435666424‰151‰2291925
六甲ケーブル21,0671,764498‰238‰4931932
摩耶ケーブル21,067964547‰208‰3121925
八栗ケーブル21,067684288‰181‰1671931
帆柱ケーブル21,0671,191528‰206‰4411957 
別府ラクテンチケーブル21,067253558‰480‰1221929

上の表で、今までに乗ったことがあるケーブルカーは筑波山ケーブル、高尾登山ケーブル、箱根登山ケーブル、立山ケーブル、高野山ケーブル、妙見ケーブル、六甲ケーブル、摩耶ケーブルです。
いくつか写真を紹介したいと思います。高野山ケーブル以外はWikimediaから拝借させてもらいました。これから乗る機会があれば自分で撮った写真と置き換えていきたいと思います。
高野山ケーブル       別府ラクテンチケーブル   大山ケーブル


生駒ケーブル 踏切のあるケーブルカー←クリックすると踏切の写真
   生駒ケーブル 山上線
   

   生駒ケーブル 宝山寺線
   

比叡山 坂本ケーブル 現在  ←  ←  ← 日本最古の車両 コ1形


コメントいただいたbarbieさんが学生時代によく乗られた叡山ケーブルと男山ケーブルの写真を追加いたしました。
叡山ケーブル       男山ケーブル        西信貴ケーブル


兵庫県宝塚市に住んでいたころに、近くでよく乗ったケーブルカーを三つ紹介します。
六甲ケーブル       摩耶ケーブル         妙見ケーブル