写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。

野菜を少しづづ作られているお家に訪問した時に、軒先で落花生の殻から実を取り出されていました。聞くと作っている落花生の量は少ないので、落花生畑でよく見かける右の写真の「ぼっち」を作って乾燥させることは出来ないので、家に持ち帰ってから乾燥しているそうなのです。
うれしいことに殻から取り出した生の落花生をいただきました。その時に美味しい食べ方を教えてもらったので紹介したいと思います。と言っても次のように簡単な方法なのです。
 ① 殻から取り出した生の落花生を天日で数日干す
 ② フライパンで焼き色が付く程度に炒る

最初は新聞紙の上の並べて干していました。


でも、鳥に食べられてはいけないので、下記の写真のようにネットの中に入れて干すことにいたしました。幸い半日干している間に鳥に食べられることはありませんでしたが、1週間も干していると、きっと鳥に見つけられたと思います。風通しのよい2階のバルコニーで天気の良い日の8時~15時に干しました。この時間以外は部屋の中で干していました。
この干すことが落花生を美味しくするために重要な作業であることを知ったのです。実は待ちきれなくて少しだけ3日目に炒って食べたのですが、焼き色が付く状態になっても生ぽかったのに対して、一週間干したものは格段に美味しくなっていたのです。干す作業の重要さを知りました。


こちらが干しあがった落花生(ピーナッツ)です。
  界 植物界     Plantae
    被子植物    angiosperms
    真正双子葉類  eudicots
  目 マメ目     Fabales
  科 マメ科     Fabaceae
 亜科 マメ亜科    Faboideae
  連 ツルサイカチ連 Dalbergieae
  属 ラッカセイ属  Arachis
  種 落花生     Arachis hypogaea
 英名 ピーナッツ   Peanut


干したものをフライパンで炒り始めたところです。油は使いません。
落花生の原産地は南アメリカ大陸で、最も古い証拠はペルーのリマ近郊の紀元前2500年前の遺跡から出土した落花生の殻だそうです。日本へは1706年に東アジア経由で伝来し、南京豆(なんきんまめ)と呼ばれたそうです。ただし現在の栽培種は明治維新以降に導入された品種だそうです。
現在の日本で生産されている有名な品種は、千葉半立、ナカテユタカ(千葉県農試育成)、郷の香(千葉県農試育成)、立落花生一号(神奈川県農試選抜)、改良半立(神奈川県農試選抜)、フクマサリ(千葉県農試育成)、金時、おおまさり、Qなっつ等があります。ピーナッツ(Pなっつ)の次の意味の Qなっつは2018年にデビューした新しい品種で、テレビで紹介されているところを先日見ました。


少し焦げ色が付くまで炒りました。
落花生の特徴は名前の由来にもなっている地下結実性(ちかけつじつせい)です。夏に黄色の花を咲かせ、受粉して数日経つと子房柄が下方に伸びて地中に潜り込み、地中で結実するのです。右の花の写真はネットから転用させていただいています。


これが出来上がりです。食べるのは冷えてから食べるのも美味しく食べるポイントの一つでした。熱いうちだと豆が少し柔らかいけれども冷えるとカラッとするのです。


拡大写真も紹介します。今年は実家や叔父さんに落花生を送るために直売店に買いに行ったので、市販の本場の落花生(八街産の半立)を食べていたのですが、その市販の本場の落花生に負けない出来上がりになった気がしました。


政府統計の2015年の都道府県の生産量ランキングは次の通りです。
日本での栽培は1871年に神奈川県大磯町の渡辺慶次郎(1841年~1914年)が最初と言われています。まだ地下結実性であることは知られていなかったことから最初は戸惑ったようです。千葉県での最初の栽培は千葉県山武郡南郷町の牧野萬右衛門(1847年~1921年)によって1876年にはじめられたそうです。さらに、千葉県匝瑳郡鎌数村の金谷総蔵(1848年~1892年)の尽力によって今の千葉の生産につながっているそうです。
千葉県の生産量は9590トン/年が国内生産量の78%にもなるそうです。2位は茨城県で、その2県だけで国内生産量の90%になります。作付面積は全国合計が6700haに対して千葉県は5240haです。円グラフをクリックすると対数棒グラフを表示します。

 区分
生産
t/年
割合累計
  区分
生産
t/年
割合累計
1千葉県959078.0%78.0%16岐阜県230.19%98.9%
2茨城県151012.3%90.2%16愛知県230.19%99.1%
3神奈川県2852.3%92.6%18長野県180.15%99.3%
4栃木県1911.6%94.1%19福島県140.11%99.4%
5鹿児島県1291.0%95.2%20沖縄県110.09%99.5%
6宮崎県810.7%95.8%21香川県60.05%99.5%
7山梨県520.4%96.2%21福岡県60.05%99.6%
8群馬県500.4%96.7%23鳥取県50.04%99.6%
9長崎県490.4%97.0%23岡山県50.04%99.6%
10埼玉県450.4%97.4%23佐賀県50.04%99.7%
11三重県400.3%97.7%26東京都40.03%99.7%
11熊本県400.3%98.1%26滋賀県40.03%99.7%
13新潟県310.3%98.3%26広島県40.03%99.8%
14大分県270.2%98.5%29愛媛県30.02%99.8%
15静岡県240.2%98.7%29高知県30.02%99.8%


現在では日本国内の消費量の僅か約10%が国内生産というのが実情です。
    国内生産量 12,300トン/年(世界63位)
    輸入量   98,867トン/年(世界 7位)
ちなみに中国の落花生の生産量は1,441万トン/年(世界の約37%)と、日本の1000倍以上です。確かに中国では前菜や料理などにも落花生がよく出てきていました。写真をクリックすると記事を表示します。



千葉県の落花生の作付面積収穫量産出額の推移をグラフで紹介します。
落花生の生産は安価な中国産に押されて作付面積およひぜ収穫量は1960年~1965年をピークに減少はしてきてはいますが、産出額(=出荷量×農家庭先価格)の落ち込みは意外と少なく最近では上がる傾向も見られ100億円に達する勢いです。このことからも国産品の美味しさが認められてきている気がします。


コメント頂いたプリスキラさんが紹介されていた「君に届け」です。