12時に標高3448mの九寨黄龍空港について麓の標高3000mの場所で昼食にするためにマイクロバスで移動はじめた途端に、急斜面で、いきなり写真の毛の長い牛に出会いました。この毛の長い牛は高山に住む「ヤク」です。ヤク(Bos grunniens)はウシ目ウシ科ウシ属に分類される偶蹄類で長い毛が特徴です。
ヤクと言えばアニメ「天空の城ラピュタ」でシータが住んでいたゴンドアにいたのが、ヤク達でした。パズーの名せりふ「全部かたづいたらきっとゴンドアへ送っていってあげる。 見たいんだ、シータの生まれた古い家や谷やヤク達を」を思い出しました。
インド北西部、中国の甘粛省やチベット自治区、パキスタン北東部に自然分布しているそうです。高地に適応しており、体表は蹄の辺りまで達する黒く長い毛に覆われています。換毛はしないため暑さには弱いそうです。肩は瘤状に隆起しています。鳴き声は低いうなり声であり、ウシの様に「モー」とは鳴かないそうです。
             オス           メス
   体長     280-325cm     200-220cm
   尾の長さ    80-100cm      60-75cm
   肩の高さ   170-200cm     150-160cm
   体重     800-1000kg     325-360kg

3000mの麓に降りるまでの間にも沢山見かけました。ヤクの姿を見て標高の高いところに来たことを実感させられました。野生のヤクは食用の乱獲などにより生息数は激減してしまい、1964年における生息数は3,000-8,000頭と言われました。中国では法律で保護されているそうです。ヤクは2,000年前から家畜化したとされており、家畜個体数は20年前の1993年の集計ですが13,700,000頭と推定されています。


緑のフェンスは飛行場のフェンスです。ヤクが飛行場に入ってくるのを防いでいるのかもしれません。
ほとんどのヤクが家畜として荷役用、毛皮用、乳用、食肉用に使われています。中国ではチベット自治区のほか、青海省、四川省、雲南省でも多数飼育されているそうです。ヤクはチベット語に由来しますがチベット語では雄のヤクだけを指す言葉で、メスはディというそうです。


人家の近くでも沢山飼われていました。
チベットやブータンではヤクの乳から取ったギーであるヤクバターを灯明に用いたり、塩とともに黒茶を固めた磚茶(団茶)を削って煮出し入れ、チベット語ではジャ、ブータンではスージャと呼ばれるバター茶として飲まれているそうです。今回バター茶をいただきましたが、後日、報告させていただきます。チーズも作られていそうです。
食肉用としても重要で、脂肪が少なく、赤身が多く、味も良いため、中国では比較的高値で取引されているそうです。糞は乾かして燃料として用いられ、体毛は衣類などの編み物に利用されそうです。


ヤクはあらゆるところに放牧されており、道路に出てきて車を徐行させたことも2度ほどありました。


初めて大きく撮ることが出来ました。額には飾りがつけれれていました。大切にされている証拠だと思います。所有者の区別のための飾りかもしれません。


この程度の群れで放牧されていることが多かったです。きれいな景色にヤクが似合っていました。


毛の長い山羊(やぎ)にも出会いました。高山性のヤギだと思います。