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世界遺産 2200年前の治水設備 都江堰 [四川省]

写真の上のカーソルがの場合はクリックすると拡大します。
安倍首相が2019年12月25日に都江堰を視察するとの話があるので記事を新しい日付で再掲載いたしました。

2009年8月4日掲載 タイトル:世界遺産 2200年前の治水設備 都江堰

四川省の世界遺産の一つである都江堰(とこうえん 中国読み:デゥジャンイェン)に行ってきました。都江堰はすごい建物があるわけでもないし自然のすばらしい景観があるわけでもありません。それでも世界遺産になったのは、2200年前に造られた大規模な治水施設が今でも洪水を防止しているからです。

水量も半端な量ではないし治水設備も規模が大きすぎて写真では判りにくいので衛星写真で説明いたします。川の名前は岷江で長江(揚子江)の支流です。先ずの部分で水を分流します。増水すると左の方に流れます。の部分で川が絞られており都江堰市内や成都市に流れていく川の水を一定量にして、それらの市街地が洪水になるのを防いでいます。そのために前記事で紹介した通り365日、濁流が流れながら洪水にならないのです。さらに増水するとから水が逃げます。クリックすると拡大さらに増水するとカラ川のに水が逃げるシステムのようです。南橋水門橋はすでに紹介したものです。治水の水は成都平原一帯の灌漑用水となっています。つまり、治水システムは水の分流と制限と放流を巧みに利用しているのです。
Google航空写真→ポチッ(位置を で表現)


都江堰市内を流れる水の動画です。
これは前記事でも紹介した動画ですがで365日一定量に制限された水だったのです。是非ともプレイボタン( )をクリックして見て下さい。


都江堰市は、もとは灌県(かんけん)と呼ばれていましたが、世界遺産にも登録された秦漢時代の治水施設・都江堰にちなんで改名されたそうです。都江堰は成都平原一帯の灌漑用水を取り入れる施設で、2000年間にわたり四川省の広大な範囲を潤しています。都江堰市は成都平原一帯端にあたり北西部は険しい山岳地帯になります。そこからの水です。都江堰市は成都平原の西北の縁に位置し、北西部は四川盆地の西部に聳える龍門山脈という高山地帯になっています。市域は成都平原と龍門山脈にまたがり、地勢は西北が高く、東南が低く、山地と丘陵が面積の65.79%を占め、平地や水面は34.21%であります。平野部の最も低い場所は海抜592mですが、山岳部の最高地点は海抜4,582mにも達し、標高差は4,000m弱と高低差が非常に激しいことが衛星写真からもわかってもらえると思います。。


最初の(魚嘴)の水を分量する部分の写真です。手前の本流の広さが150mで、奥の灌江の幅は130mです。


ここが正に水流を2つに分流する魚嘴()の部分です。
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上の写真のの部分は判りにくいと思うので看板の写真を掲載いたします。四川大地震で塔が崩れたのでこの写真は直には撮れませんでした。鉄製の水門はもちろん現代のもので1992年製と書かれていました。設備は近代化されましたが、基本的な治水の構造は昔のままだそうです。
都江堰の管理と修繕は歴代王朝において重要な職務で、当時の最新技術によって補強工事が行われ、洪水や地震が襲った後には修繕が繰り返されたそうです。蜀漢の諸葛亮は、蜀の穀倉地帯の要である都江堰を重視して1200人の兵を常駐させていたほどです。


こちらがの部分です。ここから街に水が流れていきます。狭くなっているのがわかると思います。こんなに狭くても南橋のところは激流でした。街に流れる水の量を制限しているは両岸も川底も岩盤で出来ているために勢いのある水が流れても広がることは無くいつまでも一定量の水を流し続けているのです。右の岩には「離堆」と書かれています。その岩山の上の建物は老王廟です。この水の流れ出る部分は「宝瓶口」で、玉壘山の断崖に切り抜いて作られたそうです。宝瓶口は頂上部の幅が28.9mで、底部の幅は14.3mだそうです。
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こちらの写真はの部分を下流側から撮ったものです。すごい流れであることがわかってもらえると思います。
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2枚上の写真を遠くから撮ったものです。このカラ川がに相当します。いざと言う時には大部分の水は右のカラの川に流れていきます。この放流するシステムを「飛沙堰」と呼びます。飛沙堰( ③ ④ )はそれぞれ約200mの幅があります。この辺りは(水量を制限)も含めて岩盤で出来ていることが判ってもらえると思います。


昔は水の流れを変えるために写真の「榪槎」と呼ばれるものを川に沈められたそうです。外を竹に覆われもので、中に土砂がたまる仕組みだったそうです。


怖い吊り橋もかかっていました。名前は安瀾橋です。


動画でつり橋の揺れを体感してみてください。これだけの流れですから落ちたら命の保障は無いと思います。YouTubeが見れない方(中国国内や一部の企業の社内LAN)のためにSo-netにも動画を登録いたしました。

上の吊橋とは違う、もう一方の吊り橋の写真を掲載します。の街側ではない方の流れにかかった吊り橋で、こちらも向こう岸まで渡りました。