生めかぶ [料理]
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上の写真は前々記事のめかぶ納豆の記事の中で紹介した生メカブです。メカブのほとんどは湯通しして細く刻まれて売られていますが、今の時期に時々上の写真の生のメカブがスーパーで並んでいて気になっていました。そこで、初めて買って食べてみることにいたしました。
古代には海藻根(まなかし)と呼ばれ、中世以降にメカブ(芽株 / 和布蕪)と呼ばれるようになったそうです。地域によりミミ、ネカブ、カブ、メヒビなどいろんな呼称がありますが、右下の小さな写真のようにワカメの根元のヒダ状の胞子(遊走子)を作る部分で、専門的には胞子体 / 胞子葉 / 成実葉と呼ばれています。放出された胞子は2つのタイプに成長していき、それぞれ精子と卵になります。それらが受精して新しいDNAでワカメに成長していくのです。右の地図はワカメの分布図で日本と朝鮮半島と中国一部の沿岸に分布していますが1940年ころまでは中国沿岸にはなかったことから日本に縁の深い限られた地域の海藻だったようです。現在、日本で食べられているメカブは日本産と韓国産です。近年では船のバラスト水に遊走子(胞子)が混入して繁殖している地域では外来生物扱いされています。
不等毛植物門(Heterokontophyta)は陸上植物に相対する多様性と生態的意義を持つグループだそうです。
門 不等毛植物門 Heterokontophyta
綱 褐藻綱 Phaeophyceae
目 コンブ目 Laminariales
科 チガイソ科 Alariaceae
属 ワカメ属 Undaria
種 ワカメ Undaria pinnatifida
冒頭の写真のように2つメカブが入っていたので、その中の一つを茹でました。生メカブは茹でるときれいな緑色に変わります。それを刻んだのがこちらの写真です。生めかぶが出回るのは2月~5月で、旬は3月~4月だそうです。
分厚くてぬめりがあるので、包丁では市販の刻みメカブのように細く切れませんでしたが、混ぜると写真のように沢山のぬめりが出てきました。この茹でたてのメカブが驚くほど美味しかったのです。これは食べた人だけが分かる美味しさでした。
茹でたてを刻んだものの美味しさが分かったので、2つあったメカブの一つは生のまま保管して翌日に食べました。ただしまだ沢山刻んだメカブがありました。刻んだものを冷蔵庫に入れて翌日に食べたのでは市販のメカブと同じになってしまうので、同時に別の料理にして食べてみることにいたしました。それがメカブ焼きです。海老も入れてみました。一見、ネギ焼のように見えると思いますが緑色のものは全てメカブです。
焼きあがる寸前です。
風味をつけるために油にはゴマ油を使いました。2枚が焼きあがりました。
直感的にポン酢が合いそうなのでポン酢でいただきました。そのポン酢は正解でした。
もちろんビールです。ビールが進みました。
この日の夕食は、ねばねばメカブ、めかぶ焼き、葉つき大根の漬物でした。
前日は茹でてから刻みましたが、この日は刻んでから茹でることにいたしました。熱々のネバネバ・メカブが食べたかったので、料理の手順を変えたのでした。食べる分だけ刻めば生の状態で保存できるので、数日は新鮮なメカブが食べれるメリットもありました。
細く刻んであるので茹でるのではなく、お湯を上からかける「湯通し」にいたしました。塊を茹でる場合も色がきれいな緑色に変ればOKで、茹ですぎは味を損ねるそうです。
熱々のまま、少しかき混ぜるとすぐにネバネバが出てきました。
やはり熱々ネバネバのメカブは格別でした。先に茹でても美味しかったけれども、この熱々は先に刻まないと食べれません。丸まま茹でたものは熱すぎで冷えないと切れないからです。